「日本酒がうまい!」推進委員会

初心者必見!日本酒の楽しみ方
~伏見酒蔵めぐり編~

「日本二大酒どころ」ってどこかご存知ですか?兵庫県の「灘」、京都府の「伏見」で、ともに関西にあります。そんな灘と伏見には、日本酒ツウじゃなくても、誰もが知っている酒蔵が多数存在。

それが灘の「大関」「日本盛」「白鹿」「白鶴」「菊正宗」、伏見の「月桂冠」「黄桜」「松竹梅(宝酒造)」。北海道から九州まで、日本各地で日本酒造りは行われていますが、なぜ灘と伏見に、酒蔵が集まっているのでしょうか?今回紹介する8社のことを知れば、その理由が明らかに!そして、日本酒好きはもちろん、ビギナーも酒蔵各社の日本酒に対する思いや裏側を知れば、「ちょっと日本酒飲んでみようかな!」と興味がわいてくるかも…!!

月桂冠

歴史好きも必見!酒蔵が歩んだ380余年

月桂冠が誇る最高クラスの純米大吟醸酒「鳳麟」
月桂冠が誇る最高クラスの純米大吟醸酒「鳳麟」

京都の酒造りの歴史は古く、1425(応永32)年、1426(応永33)年の酒屋名簿によると、京の洛中・洛外に342軒の酒屋が存在していたと記述が残っています。
伏見にある「月桂冠」もまた歴史は長く、創業は1637(寛永14)年。徳川三代将軍・家光の時代に当たります。当時の伏見は交通の要衝として栄えた町で、人口は3万人以上、江戸・大坂・京に次ぐ規模だったと伝えられています。今で言う大都会だけに、1657(明暦3)年には83軒もの酒造家が存在し、現在の「月桂冠」もその中の一つ。ただ、当時は規模も小さく、創業以来、江戸期の250年間は伏見の地の酒として商ってきたそうです。そんな酒蔵が今や日本全国、海外でも知られるまでになったのはなぜなのか?
月桂冠大倉記念館 館長の西岡成一郎さんの案内のもと、記念館を巡り、その理由を紐解いていきます!

江戸時代の絵地図
江戸時代の絵地図

「月桂冠大倉記念館」は1909(明治42)年に建てられた酒蔵を活用。米の洗い場として使用されていた板石による土間、巨大な梁が象徴的な小屋組みの天井など、昔ながらの酒蔵の風情を感じられる施設です。中でも江戸期の伏見の絵地図や昔の酒瓶など数多くの史料を展示した南展示室は必見。「笠置屋」という屋号で創業した時代に始まり、1868(慶応4)年に勃発し、戊辰戦争の初戦となった戦いとして有名な鳥羽・伏見の戦いを辛うじて免れたことで、現在へと酒造業が継続できた歴史など、380余年の歩みを知ることができます。

表に「かさぎや」、裏に「ふしみ」と書かれた通い徳利。
表に「かさぎや」、裏に「ふしみ」と書かれた通い徳利。
今で言う、量り売り用の容器のようなもの

館長の西岡さんは展示された江戸時代の手動式消防ポンプの前で足を止め、「この消防ポンプも、もしかしたら鳥羽・伏見の戦いで火消しに活躍したものかもしれません」と一言。そう考えると、めちゃくちゃロマンがありますね!
さらに伏見といえば、1866(慶応2)年に起こった坂本龍馬襲撃事件で知られる旅籠、寺田屋があった場所。当時の伏見には薩摩藩、長州藩などの藩邸も点在し、時代が激しく揺れ動いた幕末・維新の時代にはさまざまなことが起こりました。実際、2008(平成20)年、伏見奉行所跡の発掘調査で「かさぎや(笠置屋)」と書かれた大徳利も見つかっているというから、幕末の時代に「月桂冠」の日本酒が飲まれていたのでは?という想像も膨らみます。

一代で事業規模を100倍に!日本を代表する名経営者

記念館を丁寧に案内してくれた館長の西岡成一郎さん
記念館を丁寧に案内してくれた館長の西岡成一郎さん

次に西岡さんが熱心に話してくれたのが、「月桂冠」と名を変え、全国区の酒造メーカーに成長させた人物について。それが、11代目の大倉恒吉氏です。
西岡さんは「恒吉は当社で中興の祖と称される人物で、10代目から家業を継ぎ、12代目にバトンタッチするまでに、なんと事業規模を100倍にしたんです。酒銘を『月桂冠』に変えたのも恒吉の時代で、『月桂冠』はオリンピックの勝者に贈られるものであることから、酒の王者を目指すという心意気を表現しています」と解説。

駅の売店で爆発的な人気を得た、猪口付きの酒瓶
駅の売店で爆発的な人気を得た、猪口付きの酒瓶

恒吉氏は防腐剤なしの瓶詰め酒の商品化に成功したのを皮切りに、駅弁と同じく鉄道の中で日本酒が楽しめるように、猪口付きの瓶を開発するなど、先進的な発想とアイデアで事業を拡大。まさに創造の人ですね!日本酒以外にもビジネスマンとしての学びも多く得た印象でした。

記念館見学者に人気の試飲コーナー「きき酒処」
記念館見学者に人気の試飲コーナー「きき酒処」

最後は記念館見学後のお楽しみ、「きき酒処」です。入館時に受け取ったコイン3枚を使って楽しむ試飲コーナーで、コイン1枚につき1杯試飲ができるというシステム。大吟醸や純米大吟醸をはじめ、記念館限定品、果物のようなフレーバーで最近人気の「果月」など10種程度の銘柄が用意されています。追加のコインを1枚100円で購入できるので、いくつかの種類を飲み比べて、好みを探すのもおすすめ。コイン3枚を試飲で使わない場合は、持ち帰り用の日本酒1合瓶と交換可能なので、その場で飲めない場合でもうれしいですね。

日本酒好きはもちろん、幕末・維新など歴史好きにもおすすめの「月桂冠大倉記念館」。11代目・大倉恒吉氏の、現代社会でも通用しそうな実業家としての実績を含めて、楽しみ方はいろいろです!

●月桂冠大倉記念館

住所:
京都府京都市伏見区南浜町247
電話:
075-623-2056
開館時間:
9:30〜16:30(最終受付16:00)
休館日:
盆、年末年始
入館料:
20歳以上600円、13〜19歳100円、12歳以下無料※13歳以上はおみやげ付き