「日本酒がうまい!」推進委員会

初心者必見!日本酒の楽しみ方
~西宮(灘)酒蔵めぐり編~

「日本二大酒どころ」ってどこかご存知ですか?兵庫県の「灘」、京都府の「伏見」で、ともに関西にあります。そんな灘と伏見には、日本酒ツウじゃなくても、誰もが知っている酒蔵が多数存在。

それが灘の「大関」「日本盛」「白鹿」「白鶴」「菊正宗」、伏見の「月桂冠」「黄桜」「松竹梅(宝酒造)」。北海道から九州まで、日本各地で日本酒造りは行われていますが、なぜ灘と伏見に、酒蔵が集まっているのでしょうか?今回紹介する8社のことを知れば、その理由が明らかに!そして、日本酒好きはもちろん、ビギナーも酒蔵各社の日本酒に対する思いや裏側を知れば、「ちょっと日本酒飲んでみようかな!」と興味がわいてくるかも…!!

大関

ワンカップ大関の瓶詰工場がすごい!

ワンカップ大関の第二瓶詰工場
ワンカップ大関の第二瓶詰工場

大関といえば、やはり「ワンカップ大関」。スーパーはもちろん、コンビニでもよく目にする、カップ入りの清酒です。今では当たり前に身近にある商品のため、不思議ではないですが、「ワンカップ大関」が生まれたのは、1964(昭和39)年。飲食店などでは徳利と猪口で日本酒を飲むのが一般的だった時代にカップ自体を容器とし、開ければその場で飲めてしまうという発想。しかも、ガラスのカップには「One Cup OZEKI」と商品名も書かれており、社名のPRにもなる。55年以上も前に、この発想はかなり先進的です。だからこそ、今ではカップ酒が当たり前になるほどロングセラー商品となったんですね。
そんな「ワンカップ大関」を造る酒蔵があるのが兵庫県西宮市今津出在家町。特別に生産ラインを見学させてもらいました。

どんな質問にも答えてくれる工場製品部の井口さん
どんな質問にも答えてくれる工場製品部の井口さん

プラント内に入ると、「ワンカップ大関」がレーンの上をどんどん流れています。案内してくれた工場製品部の井口さんは「ここは8号プラントで、当社では2番目に新しい施設。ワンカップ大関は定番の180ミリリットル、200ミリリットル、300ミリリットルなど容量がいくつかあるんですが、例えば100〜200ミリリットルのワンカップ大関だと、1日で14〜15万本を製造できる能力を持ったプラントになります」と説明してくれました。1日14〜15万⁉とんでもない本数です。
6個のカメラでガラス容器をチェック、洗浄・乾燥の徹底など衛生面はもちろんのこと、「すごい!」と思ったのが、よりおいしい味わいを生み出すための工夫。井口さんは「ガラス容器に充填する際は殺菌のために65〜70度にするのですが、充填後、すぐに容器の外側から冷ましています。そうすることで、日本酒の風味が良くなり、よりおいしい『ワンカップ大関』を造ることができます」と教えてくれました。それらの作業は機械が行うとはいえ、冷却工程の機械、さらには日々のメンテナンスも必要になります。これは「よりおいしい日本酒をお届けする」という強いこだわりですね。

長い歴史を感じつつ、斬新な日本酒スイーツも♪

西宮市今津出在家町にある大関本社
西宮市今津出在家町にある大関本社

大関は創醸1711(正徳元)年と、日本酒造りの歴史は長いです。上方から江戸へと樽廻船に酒樽を積んで運ばれた灘の酒。その歴史を今に伝える建造物があります。それが大関本社からほど近い今津港に建つ「今津灯台」です。現代では想像できませんが、電気がない時代、夜の海は闇に包まれ、陸にも目印となる灯りは存在しません。

日本最古の灯台でもある、大関酒造今津灯台
日本最古の灯台でもある、大関酒造今津灯台

そこで大関酒造の長部家5代目長兵衛氏が樽廻船や漁船の海路安全のために1810(文化7)年、私費を投じて「今津灯台」を建設。現在も現役で活躍し、1967(昭和43)年には、民営の航路標識として海上保安庁から正式認証を受け、正式名称も「大関酒造今津灯台」となりました。上方から江戸に運ばれた灘の酒、大関が守ってきた今津港の安全。「大関酒造今津灯台」を通して、灘の酒の歴史に思いを馳せてみるのもおすすめです。

甘辛の関寿庵で人気の特製酒まんソフト
甘辛の関寿庵で人気の特製酒まんソフト

最後に訪れたのは、大関のアンテナショップでもある「甘辛の関寿庵」。今津出在家町から西に伸びる酒蔵通り沿いにあり、大関の各種日本酒を販売するほか、酒饅頭、酒カステラ、お米のバウムクーヘン、甘酒タルトなど、日本酒にちなんだスイーツが充実しています。中でもおすすめは、特製酒まんソフト(370円)。食べると酒饅頭の風味をほのかに感じ、今まで食べたことがない新鮮な味わい。これはハマりそうです!

甘辛の関寿庵。ショップ内に試飲販売機がある
甘辛の関寿庵。ショップ内に試飲販売機がある

ショップにはカフェが併設されており、ちょっとひと息入れるにもピッタリ。2021年10月のリニューアルで新たに導入された試飲販売機も好評で、1杯100円とリーズナブル。常時6種の日本酒の飲み比べが楽しめますよ。

●甘辛の関寿庵

住所:
兵庫県西宮市今津出在家町3-3
電話:
0798-32-3039
開館時間:
10:00〜18:00
休館日:
1月1日、2日